「静と動の美」

2011 東京展 風景

能楽写真家協会では会員による能楽写真展を開催しています。
能楽のプロカメラマンが撮影した能楽写真を、記録として、また芸術の領域まで高めうるか、能楽写真家協会としての試みであり、さらにこの催しが能楽の普及、啓蒙に役立てばとの願いから、全国の能楽カメラマンが撮ったそれぞれの作品を出品します。

東京展

会期 2011年2月24日(木)〜3月2日(水)

開館時間 10:00〜18:00  (最終日は14:00閉館)

会場 ポートレートギャラリー  入場無料

〒160-0004 東京都新宿区四谷1丁目7番地
日本写真会館 5階
TEL:03-3351-3002
URL https://www.sha-bunkyo.or.jp/gallery/

JR四ツ谷駅 徒歩3分

出品者

関東 石田 裕・太田宏昭・亀田邦平・神田佳明・鈴木 薫

   高橋 健・辻井清一郎・前島吉裕・名鏡勝朗・森田拾史郎

   山口宏子・吉越 研・渡辺国茂

中部 杉浦賢次

関西 池上嘉治・牛窓雅之・木村嘉男・久保博義・今駒清則

   瀬野雅樹・原田七寛・渡辺真也

出品作品
東京展
出品作品

池上 嘉治

井筒」 金春 康之(金春流) 2009年11月8日 金春会定期能 国立能楽堂

 場面 「見ればなつかしや」


景清」 大島 政允(喜多流)
       2010年10月31日 大島久見七回忌追善能 十四世喜多六平太記念能楽堂

 場面 「打ち物ひらめかいて 斬ってかかれば・・・」

 

石田  裕

白是界」 粟谷 明生(喜多流)  2010年10月10日(粟谷能の会) 国立能楽堂


白田村」 粟谷 明生(喜多流)
           2009年4月16日 (厳島神社桃花祭御神事能) 厳島神社能舞台

 

牛窓 雅之

小鍛治 黒頭

 黒頭の特殊演出の型所で囃子方などの借景は入れないで撮影します。


姨捨

 能舞台でないような色彩を表現します。


敦盛

光明寺本堂の演能のため、かすかな自然光の中、役者との“間”を楽しみます。

 

太田 宏昭

三 輪 白式 神神楽」 鵜沢 久(観世流) 2010年 7月19日  国立能楽堂企画公演

 三輪山の神話を元に作られた曲。神道と仏教が習合していた頃に作られた曲で、女の姿をして現れるが、三輪明神が男としての話を語っているようにも考えられるなど難解で中世を反映させた曲。


月見座頭」 野村 万作 2005年10月 12日
               横浜能楽堂特別公演 あかり夢幻能 横浜・三渓園

 独り野辺で泣く座頭、しんとした夜に虫の音だけが聞こえている。

 

亀田 邦平

松風」 前田 晴啓(宝生流) ツレ 金森 秀祥(宝生流)

 「塩汲車に桶を乗せて」


楽屋 面をつけ女性に」

 変身する入魂の一瞬

 

神田 佳明

素袍落」 山本 東次郎(大蔵流) 2009年9月28日 杉並能楽堂

 上階の笑み昴る


龍虎」 出雲 康雅(喜多流) 2008年12月19日 国立能楽堂

 雲起こり虎、竹林に立つ


葵上」 出雲 康雅(喜多流) 2009年2月24日 横浜能楽堂

 嫉妬に燃える御息所

 

木村 嘉男

嵐山 白頭」 深野新次郎(観世流) 2010年6月2日 平安神宮 第61回京都薪能

 年に一度の平安神宮京都薪能

 

久保 博義

八島」 赤松 禎英(観世流) 2010年11月26日 赤松禎韻会25周年記念 大槻能楽堂

 義経の霊が昔の姿で現れ屋島の合戦の有様を語る。戦いのさなかに弓を海中に落としたが、弱い弓であることを敵に知られないように危険をおかし取り返したり、激戦の様を語り見せるが夜明けとともに姿が消える。


」 金春 康之(金春流) 2010年3月21日 第16回金春康之演能会

 平家物語中の「鵺」から構成された世阿弥の作品。夜ごと黒雲と共に現れ帝を苦しめ、頼政に矢で射られ、丸木舟に押し込められ、海に流し捨てられた鵺が、闇の底からの救いを回向の僧に頼みながら、沈み行く月とともに海の中に消えて行く。

 

今駒 清則

」 金春 穂高ほか(金春流) 2007年5月11日 奈良:薪御能 咒師走りの儀 春日大社舞殿

 薪能の発祥地、奈良・興福寺と春日大社で薪御能は執り行われる。
最初は春日大社社頭の「翁」。白い浄衣姿の三人の翁と父尉、黒式尉で呪術的な所作と舞を演じ天下泰平を祈る。


三輪」 金春 安明(金春流) 2005年5月11日 薪御能 南大門の儀 興福寺

 興福寺南大門前で薪を焚き、能が演じられる。
「三輪」は恋する三輪の神が僧に救いを求め、岩戸隠れの神話や女神の神楽が舞台で舞われる。

 

杉浦 賢次

弱法師」 長田 驍(喜多流) 2006年 豊田市能楽堂定例公演 豊田市能楽堂

 家を追われ、盲目の乞食と為った青年が、世の人を恨まず、難波の寺で梅花の香を愛で、寺の鐘の音を聞き、風流を楽しむ姿。


花筺 筺之伝」 観世銕之丞(観世流) 2010年9月20日 名古屋観世会定例公演 名古屋能楽堂

 皇子と別れた輝日ノ前は心が乱れ、送られし花筺を、君の形見だと身の及ばぬ恋の悶えを舞う

 

鈴木  薫

景清」 野村 四郎(観世流) 2005年3月23日 銕仙会青山能 銕仙会能楽研修所

 平家の勇将・悪七兵衛景清は戦に破れ、日向の国に流され乞食同然の身となっている。 そこへ鎌倉から娘・人丸が父を慕ってやってくる。景清は我が子の行末を思い、父とは名乗らないが、里人の計らいで親子の対面を果たす。身を恥じつつも娘の頼みにより、屋島の合戦での武勇談を聞かせ、我が身亡き後の回向を頼む。巡り会いながらもまた再び別れ行く、父と娘。落ちぶれ果てた中にも、凛々しさを漂わせるかつての武将の姿が胸に響く。


仕舞姨捨」 野村 四郎(観世流) 2007年10月21日 万作を見る会 国立能楽堂

 能「姨捨」は姨捨山の古い伝説をもとにして創られた能。姨捨山に捨てられた老女が身近に感じるのは月や花。俗世から離れ、やがて老女は月の光によって浄化されていった。それでもなお、妄執の心は昔の秋を恋しく思う。
 仕舞は能の中の1シーンを地謡をバックにシテが謡い舞うもの。面も装束もつけない仕舞という形式の中で、この難曲をどう表現するのだろうか。限られた空間の中での僅かな動きが、却って舞台の中心に凝縮した主題を現出する。それはシテの根底にある確かな心を感じとることができるからだ。

 

瀬野 雅樹

大和泰曲抄」 小鼓 大倉 源次郎(大倉流)
             2009年6月5日 DVD大和泰曲抄撮影現場にて 大槻能楽堂

 鼓の響き 打手の躍動感 気迫


」 金剛 永謹(金剛流) ツレ 金剛 龍謹(金剛流)
                    2009年9月26日 金剛能楽堂 金剛定期能

 世阿弥作 夫の留守を守る妻の悲しみ

 思ひを述ぶる便りとぞ、恨みの砧、打つとかや

 

高橋  健

清経」 浅見 真高(観世流) 1998年10月25日  代々木果迢会

 クセ後半の型を、脇正面より撮影。遠くを見込むシテの視線の先には月があり、その彼方に浄土がある。撮影者の私に深く『能』を教えてくれた舞台シーン。


善知鳥」 小早川 修(観世流) 2004年9月28日 代々木果迢会

 シテが持つ扇とは、つまりはシテの骨格 、延長の一部なのだと思う。舞に使われる扇には様々な表情があるが、ここには肩より腕、指から扇へと強い線が見出だせる。

 

辻井 清一郎

土蜘」 本田 光洋(金春流) ツレ 本田 布由樹(金春流)
                      2009年 5月22日 第二十八回大宮薪能

 写真は中入りの直前、千筋の糸を繰り出す怪僧(土蜘の精の化身)に源頼光が伝家の宝刀「膝丸」を抜いて斬りかかる場面です。曲名は流儀によって「土蜘蛛」と記します。


松風」 山井 綱雄(金春流) 2007年12月16日 第二回山井綱雄之會 国立能楽堂

 日の暮れた秋の須磨の浦でシテ松風が汐汲車に載せた桶に汐を組み入れる場面です。シテの目線は桶の中にゆらぐ月影をみています。

 

原田 七寛

生田」 金春 穂高(金春流) 子方 金春 飛翔(金春流)
                   
 2009年12月18日 春日若宮おん祭 後宴能

 春日若宮おん祭は大和の祭りの最後を飾る奈良春日大社の例祭で、870有余年続いております。12月17日午前0時に春日若宮社からご神体が暗闇の中を厳かに御旅所の仮御殿に還幸され、1時に暁祭が営まれます。午後お渡り式に続いて夜遅くまで仮御殿の前の芝舞台で、神様に向かって猿楽、舞楽などの古典芸能が奉納されます。午後11時にすべての火が消されて神様は若宮社本殿に還幸されます。
 翌18日午後、おん祭り関係者を慰労するため、芝舞台の上で観客に向かって能狂言が演じられます。


葛城」 金春 欣三(金春流) 2009年12月18日 春日若宮おん祭 後宴能

 春日若宮おん祭は大和の祭りの最後を飾る奈良春日大社の例祭で、870有余年続いております。12月17日午前0時に春日若宮社からご神体が暗闇の中を厳かに御旅所の仮御殿に還幸され、1時に暁祭が営まれます。午後お渡り式に続いて夜遅くまで仮御殿の前の芝舞台で、神様に向かって猿楽、舞楽などの古典芸能が奉納されます。午後11時にすべての火が消されて神様は若宮社本殿に還幸されます。
 翌18日午後、おん祭り関係者を慰労するため、芝舞台の上で観客に向かって能狂言が演じられます。

 

前島 吉裕

猩々乱 双之舞」 加藤 眞悟(観世流) 伊藤 嘉章(観世流)
                         2009年7月20日 よこはま能の会

 猩々は 中国に伝わる妖精で、人に福をもたらすと言われています。
酒を飲んで波を蹴りながら水上を舞い遊び、親孝行を讃えて 汲めども尽きない酒壺を与え 波間に消えていきます。
〈双之舞〉の小書
(特殊演出)により、猩々は二体出現し、さらに華やかになります。


蝋燭能鉄輪 早鼓之伝」 寺井 栄(観世流) 2010年10月31日 大倉松窓会 観世能楽堂

 自分を捨てた夫に復讐するため 丑の刻参りをした女はやがて鬼と化す。陰陽師の安倍晴明は祈祷によって女の執心を調伏する。写真は前シテ。女が神託を自覚し 鬼と化していく場面。蝋燭の灯りにより、幻想的な世界がさらに広がっていく。

 

名鏡 勝朗

半蔀」 高橋 憲正(宝生流) 2009年9月19日 五雲会

 初秋の京都。北山紫野の雲林院に住まいする僧が、草花を取り集めて立花供養をしていると、一人の女が現れ、白い夕顔の花を供養に加えた。名を尋ねると、昔は五条辺りに住んでいた夕顔であると言い残し、立花の陰に隠れるように消え失せた。女の言葉を頼りに五条の院と思しきところに訪れると、夕顔の霊が草の半蔀を押し開けて姿を顕わし、源氏の中将と契りを結んだ事などを語り、想い出の舞を舞う。


東北」 大友 順(宝生流) 2010年2月20日 五雲会

 東国より都に上ってきた旅僧が、東北院を訪れ、折から花盛りの梅を見て感じ入っていると、そこへ美しい里女が現れる。女は、梅の木は和泉式部が植えて「軒端の梅」と名付けたという由緒を語り、僧に読経を頼み、自分が梅の木の主であることを告げて消えうせる。僧が花の主の冥福を祈り読経していると、高貴な上臈姿で和泉式部の霊が現れ、歌舞の菩薩となって舞う。

 

森田 拾史郎

創作能かぐや姫」 津村 禮次郎(観世流) 2007年7月 福島県・安洞院

 

山口 宏子

絵馬」 香川 靖嗣(喜多流) 2007年6月3日 第一回香川靖嗣の会

 「絵馬」は、節分の伊勢神宮で営まれる絵馬神事と天の岩戸神話がテーマである。
 後シテの天照大神が来臨し、中の舞を舞った後、天の岩戸に籠もる。そこで、二人の神々が神楽を奏すると、岩戸が開き、天照大神が現れ、光のどけき春となる。
 この写真は、天照大神の神々しい舞姿である。


姨捨」 今井 清隆(金剛流) 2008年10月18日 「京都から今井清隆の能」

 都人が月見の為に姨捨山を訪れると、里の女が現れ、自分は捨てられた老女であり、中秋の名月の夜毎に妄執を晴らすために現れるといって、姿を消す。
 夜更け、後シテの老女が現れ、姨捨山の煌々と照る中秋の名月の光を浴びて、昔を偲びつつ、袖をひるがえし、序ノ舞を舞う。その月の光に包まれて舞う姿は、神々しく、深く印象に残るものであった。やがて宮人はさり、老女は一人取り残される。

 

吉越  研

能管

 能楽の囃子に用いる横笛である。
外観は龍笛や篠笛と似るが、内部に「喉
(のど)」と呼ばれる独特な部分があり、そのため極めて高調の「ひしぎ」という音が得られる。
 先端の部分は頭金
(かしらがね)と呼び、この笛の場合は「小槌」がはめ込まれている。頭金には「龍」「獅子」「菊」「折り鶴」など色々あり、それだけでも美しい。



草子洗」 会田 昇(観世流) 2009年1月10日 梅若会

 宮中の歌合に居並ぶ歌人達の中、小町の歌が詠み上げられるが、黒主は万葉集にある古歌だと小町を非難する。
 写真は小町が草子を洗う場面だが、自然光が入ったために撮れたものである。

 

渡辺 国茂

節分」 佐藤 俊広 2010年2月2日 黒川能上座

 黒川狂言では人気曲で、明け方4時過ぎに演じられることが多い。庄内弁の狂言なのでわかりにくいという方もいるが、耳慣れてくると方言による狂言も味がある。


道成寺」 釼持 喜美雄 2011年2月2日 黒川能上座 

 能「道成寺」の鐘は五流に比べて小さいが演技の中身が濃い。黒川能では上座に「道成寺」があり、下座には道成寺の古い形と言われる「鐘巻」がある。上座は乱拍子の時、つま先を上げずに乱拍子を踏む。

 

渡辺 真也

金の星写真場

采女 美奈保之伝」 片山 幽雪(観世流) 1999年4月25日 京都観世会例会

 


善知鳥」 味方 玄(みかた しずか)(観世流) 2004年12月18日 Bridge Noh

 

東京展

会期 2011年2月24日(木)〜3月2日(水)

開館時間 10:00〜18:00  (最終日は14:00閉館)

会場 ポートレートギャラリー  入場無料

〒160-0004 東京都新宿区四谷1丁目7番地
日本写真会館 5階
TEL:03-3351-3002
URL http://www.sha-bunkyo.or.jp/

JR四ツ谷駅 徒歩3分