「平家残照」「 幽玄の美」
能楽写真家協会では会員による能楽写真展を開催しています。
能楽のプロカメラマンが撮影した能楽写真を、記録として、また芸術の領域まで高めうるか、能楽写真家協会としての試みであり、さらにこの催しが能楽の普及、啓蒙に役立てばとの願いから、全国の能楽カメラマンが撮ったそれぞれの作品を出品します。
今回は「平家物語」を中心に、平家をテーマにした能楽から写真展「平家残照」として展示します。また今までの名舞台から「幽玄の美」として選りすぐった作品も併せて展示します。
東京展
会期 2014年1月16日(木)〜1月22日(水)
開館時間 10:00〜18:00 (最終日は14:00閉館)
会場 ポートレートギャラリー 入場無料
〒160-0004 東京都新宿区四谷1丁目7番地
日本写真会館 5階
TEL:03-3351-3002
URL http://www.sha-bunkyo.or.jp/
JR四ツ谷駅 徒歩3分
出品者
関東 石田 裕・亀田邦平・神田佳明・桜沢哲夫・鈴木 薫 高橋 健・辻井清一郎・中川喜代治・前島吉裕・宮本成美 名鏡勝朗・山口宏子・吉越 研・渡辺国茂 中部 杉浦賢次 関西 池上嘉治・牛窓雅之・久保博義・今駒清則・瀬野雅樹 瀬野匡史・秦 晴夫・松本直巳・渡辺真也 |
池上 嘉治 | 「熊坂」 大島 輝久(喜多流) 熊坂と牛若丸(後の源義経)の死闘の一場面 |
石田 裕 | 「実盛」 粟谷 明生(喜多流) 「また実盛、錦の直垂を着ること」 「鬼界島」 粟谷 菊生(喜多流) 俊寛僧都は鹿ヶ谷事件に関与した罪で鬼界ヶ島に他の二人と共に流され、一人斜面に漏れる。 再度の赦免に望みを託すが、都の妻と息子が亡くなった知らせを受け自ら食を断ち命を終えたという。 |
牛窓 雅之 | 「安宅 瀧流」 浦田 保浩 義経主従、十二人がにせ山伏となって安宅の関を越えようとするが、関守富樫に見とがめられ、勧進帳を読む武蔵坊弁慶。にせ山伏と関守との緊迫した場面。 |
亀田 邦平 | 「敦盛」 小倉 健太郎(宝生流) 源氏の武将、熊谷直実は平家の公達敦盛の菩提を弔うため出家して、蓮生と名を変え一ノ谷を訪れた。蓮生が夜もすがら敦盛の菩提を弔っていると、敦盛の霊が現れ、夜遊の様や戦闘場面を見せる。最期に回向を頼んで消えてゆく。 「船弁慶」 宝生 和英(宝生流) 宝生能楽堂 源義経は兄頼朝の嫌疑を解くため、摂津国大物の浦に行く。義経一行が船出すると、海がにわかに荒れだし、平家一門の怨霊が出現して義経を海に沈めようとする。大将の平知盛の怨霊と義経は刃をかわすが、怨霊達は弁慶に祈り伏せられて波間に消えてゆく。 |
久保 博義 | 「実盛」 高橋 忍(金春流) 僧が説法を行っていると、老人が聞きに来る。その姿は僧以外の者には見えないが、私はここで討ち死にした斎藤実盛の幽霊だと名乗り姿を消す。老人に請われ弔いをすると、実盛の亡霊が老武者の姿で現れ戦いの様を見せる。実盛の首を洗うと鬢髭を染めた墨が流れ去り白髪に戻ったことや、最後の様子を語る。老武者の悲哀と心意気を演じる修羅能。 「生田」 金春 康之(金春流) 2008年2月17日 奈良金春会 奈良県新公会堂能楽ホール 他流では「生田敦盛」という。平敦盛の子が父を慕い加茂の社で出会えるよう祈願する。するとお告げで生田の森に行けと言われ、生田に赴き敦盛の霊に巡り会う。敦盛は戦いの様を語り見せると姿を消す。戦いの修羅の苦しみと親子の愛情も描かれた修羅能。 |
桜沢 哲夫 | 「景清」 弘田 裕一(観世流) 悪七兵衛景清が源氏により日向国(宮崎)に流されて、年月を経て哀れな姿と変わり朽ち果てた藁屋 「目こそ暗けれど」松風の音を聞き「さて又浦は荒磯に、寄する波も聞こゆ るは」娘が尋ね来るのもまだ知らず。 「碇潜」 佐久間 二郎(観世流) 2012年7月22日 観世九皐会若竹能 壇ノ浦(下関早鞆)の合戦で敗れた平知盛は既に皆入水し、誰もいなくなった御座船から今が最期と、船の碇を重石にと兜の頭上高く掲げ海底にぞ入りにける。 写真とは時の流れを容赦なく切り、見せつける事。 |
杉浦 賢次 | 「清経 音取」 塩津 哲生(喜多流) 笛 藤田六郎兵衛 平清経は平重盛の三男。寿永2年(1183年)に、豊前柳浦にて入水自殺した。妻の夢枕に清経の霊が現れ、死の動機と平家一門の有様を述べる。小書「音取」は笛方の秘事。笛方は座を進め幕に向い音取を吹く。清経の霊はその笛に聞き入りながら舞台に出る演出。 「頼政」 梅若 玄祥(観世流) 源頼政は清和源氏の出。保元・平治の乱で勝者の側に、平清盛から信頼され、従三位に昇り公卿に列したが、平氏の専横に不満が高まる中、高倉宮と結んで平氏打倒の挙兵を計画、平氏の追討を受けて宇治平等院の戦いで敗れ自害した。 |
鈴木 薫 | 「景清」 野村 四郎(観世流) 壇の浦で敗れ、日向国に流された平家の武将、悪七兵衛景清。今では盲目となり、一人、貧しい庵に暮らしていました。ある日、父を慕って娘の人丸が鎌倉から訪ねてきました。景清は娘に乞われ、屋島の合戦の様子を語り出します。 「船弁慶 重前後ノ替」 野村 四郎(観世流) 瀬戸内海のほぼ中央、大三島にある大山祇神社。天然記念物の樹齢2000〜3000年といわれる大楠の前で、しまなみ海道薪能が催されました。昔から山の神・海の神・戦いの神として、多くの武将にも縁が深く、源頼朝、義経も鎧を奉納したと伝えられています。 |
瀬野 雅樹 | 「忠度」 和久 荘太郎(宝生流) 忠度は天養元年(1144年)平忠盛の六男として、紀伊国の熊野地方で生まれ育ったといわれている。歌人として優れており藤原俊成に師事、千載和歌集勅撰和歌集に掲載されている富士川の戦い、倶利伽藍の戦い等に出陣。一の谷の戦いで岡部六弥太と戦い41歳で討ち死にしたとき、文武に優れた忠度を敵味方が死を惜しんだ。 |
高橋 健 | 「経正」 浅見 慈一(観世流) 琵琶青山を勧められ奏でる経正の霊、その姿は見えぬままに、絃の調べだけが流れる。 |
辻井 清一郎 | 「経政」 金春 安明(金春流) 一の谷の戦いで戦死した琵琶の名手、経政の霊は生前愛用した琵琶「青山」を手向けて行なわれた管弦講に現れる。暫し興に乗じて琵琶を弾じ、夜遊の舞を舞うが、やがて修羅道の苦しみに襲われ、苦しむ姿を人には見られたくないと、自ら灯火を吹き消して嵐と共に幽冥に消えるラストシーン。(注)金春流では曲名は「経正」でなく「経政」。 |
前島 吉裕 | 「屋島 大事」 観世 清和(観世流) 平家物語を題材とし、「田村」「箙」とともに“勝修羅三番”のうちの一曲。 |
松本 正巳 (ビデオ映像) | 「頼政」 川村 晴久(観世流) 「小督」 大江 信行(観世流) 「船弁慶」 林 宗一郎(観世流) 「忠度」 金剛 永謹(金剛流) 「実盛」 味方 健(観世流) 「熊野」 味方 玄(観世流) 「安宅」 今井 清隆(金剛流) |
宮本 成美 | 「実盛」 坂本 立津朗(金剛流) 実盛は、戦えば死ぬと分かっている老武者。果たして力及ばず、篠原の戦いで、源氏方(木曽義仲)の武将に打たれる。武門の気骨を表現する舞台。 |
名鏡 勝朗 | 「俊寛」 今井 泰行 ツレ(康頼)山内崇生 (成経)和久荘太郎(宝生流) 平家覆滅の陰謀罪により鬼界島に流されている僧都俊寛、少将成経、入道康頼のもとに赦免状がもたらされる。が、その中に俊寛の名は無かった。成経と康頼を乗せた赦免船は去って行き、絶望の淵に嘆き悲しむ俊寛。 「橋弁慶」 渡邊 茂人(宝生流) 子方 山内晶生 2009年10月17日 宝生流五雲会 宝生能楽堂 武蔵坊弁慶は、丑の刻詣の満願の日となり北野神社へ向かう。途中、五条の橋で、まるで化け物のように強いと噂される少年・牛若丸に出会い、変化退治とばかり立ち向かうが、打ち負かされて主従の契りを結ぶ。 |
山口 宏子 | 「朝長」 味方 玄(観世流) 朝長は源義朝の次男。平治の乱に敗れた義朝一行は敗走。途中で朝長は敵に膝を射抜かれ重傷を負う。雑兵の手にかかるよりはと、朝長は覚悟の自害に及ぶ。この時、朝長弱冠16歳。この写真は朝長の自害の場面。 |
吉越 研 | 「通盛」 清水 寛二(観世流) 平家物語を題材とした曲は猛々しいものが多い中、修羅能だが男女の愛を中心に描いた異色の作品で、愛の妄執を描き、随所に詩的な表現が見られる曲です。 「二人静」 梅若玄祥 梅若紀彰(観世流) 平家の仇である義経の話です。静御前が義経との別れを悲しむ舞い姿を描いた曲ですが、菜摘女に憑いた静御前の霊が影のように寄り添って舞う相舞が特殊な曲です。 |
渡辺 国茂 | 「鷺」 遠藤 六郎(観世流) 観世九皐会定例会 作者不明 出典 平家物語 巻5「朝敵揃」 場所 都・神泉苑 季節 夏 分類 五番目もの 「熊野」 遠藤 喜久(観世流) 平成18年3月12日 観世九皐会定例会 矢来能楽堂 作者 金春禅竹か 場所:京都 平宗盛の館 清水寺 季節:春三月 |
渡辺 真也 金の星写真場 | 「屋島 大事」 片山 九郎右衛門(観世流) いわゆる「戦(いくさ)もの」ですが勝修羅である故か悲壮感は無く前場では美しい夕刻の海の情景、後場では凛々しい義経の姿が描かれる世阿弥の名曲です。 「安宅 延年之舞・滝流シ」 金剛 永謹(金剛流) 弁慶を主人公にした現在物で、「勧進帳」で有名な曲です。義経との師弟愛、同山達との堅固な信頼関係、更に敵である冨樫との駆け引き・・・語りと動きを交え激しく場面展開してゆく劇的な一曲です。 |
牛窓 雅之 | 「柏崎」 井上 裕久(観世流) 夫を亡くして、大切な一人息子と生き別れとなった女の物狂いを描いた曲。 |
神田 佳明 | 「楊貴妃」 出雲 康雅(喜多流) 喜多六平太記念能楽堂 七世紀の玄宗皇帝とその妃の愛を描く能楽ならではの豪華絢爛の舞台です。蔓帯の戸張を唐団扇で開き、時空を越えて輝く楊貴妃です。 |
今駒 清則 | 「黒塚 白頭」 金剛 巌(金剛流) 奥州・安達原に住む女、一宿の山伏に糸を繰って見せます。しかし本性は人を喰らう鬼女でした。後に山伏に祈り伏せられて消えますが、実は女との約束を破ったのは山伏側の方です。 「翁」 金春座一門(金春流) 2012年5月18日 薪御能 咒師走りの儀 春日大社舞殿 「薪御能」の最初に春日大社へ奉納する「翁」。「十二月往来」なので、三人の翁、父尉、延命冠者、千歳、三番三が登場し天下泰平を祈祷します。写真は左端に延命冠者、中央は父尉です。 |
瀬野 匡史 | 新作能「六条」 辰巳 満次郎(宝生流) 2010年10月17日 シテは六条御息所の亡霊で、ワキの代わりをツレが務める演出の新作能です。能の形式は単式夢幻能で、ツレは源氏物語を愛読する女性で、シテと会話で物語が進行する。舞はシテが舞い始めるとツレも立ち上がり相舞になるが、途中からシテの一人舞になり物語が終わる。 「善界 白頭」 上田 拓司(観世流) 中国の天狗のドン・善界坊が日本に渡り比叡山を狙いますが、勅命を受けた比叡山の僧正が不動明王に祈ると神風が起きて力尽き逃げ帰ります。 |
瀬野 雅樹 | 「富士太鼓」 衣斐 正宣(宝生流) 子方 坂口 怜 攝津の住吉神社の楽人富士は、天王寺の浅間という楽人に殺されてしまう。 |
辻井 清一郎 | 雨中の獅子「獅子三礼」の略式演出 金春 憲和(金春流) 毎年、銀座の金春通りで開催される路上能、この年は25周年を記念してシテとツレ二名による三匹の獅子が舞う「獅子三礼」が演じられる予定であった。しかし俄雨のため駐車場入り口の狭いスペースでシテ一人による簡略化した演出で演じられた。観客は雨に打たれながらも熱心に見入った。 |
中川 喜代治 | 「石橋」 辰巳 満次郎(宝生流) 石橋を渡り文殊菩薩の浄土を目指す寂昭法師の前に現れた獅子が牡丹の花に絢爛豪華に舞う動きのある見所をよりリアルに表現するには4×5カメラでなく超高画質デジタルカメラPHASEONEで撮影 |
秦 晴夫 | 「井筒」 山中 雅史(観世流)
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前島 吉裕 | 「磁石」 善竹 富太郎 田舎者が上京する途中 市を見物していると、男が言葉巧みに近寄り宿に泊める。 |
宮本 成美 | 「百萬」 山田 純夫(金剛流) 百万は、実在の人物、子に生き別れたことも事実らしい。曲舞の名手でもある百万が、その技を持って、わが子を探し回る。笹は、狂人であることを示す。 |
山口 宏子 | 「姨捨」 梅若 紀彰(観世流) 月見の為に姨捨山を訪れた都人の前に夜更け老女が現れ、姨捨の煌々と照る中秋の名月の光を浴びて、昔を偲びつつ、神々しく舞を舞う。やがて都人は去り、老女は一人取り残される。 |
日本写真会館 5階
TEL:03-3351-3002
URL http://www.sha-bunkyo.or.jp/